MUSCLE Ⅱ
👇この話の続き
💪 💪
ぐっすりと眠れ、気持ち良く目覚めることができた僕は、その日から欠かさずトレーニングをするようになった。
体を疲れさせないと眠れなくなるという恐怖心から、まるで取り憑かれたかのように、朝から晩までトレーニングをした。
腕はパンパンになり、膝はガタガタになり、体を動かす度に筋肉痛が走ったが、止める訳にはいかなかった。
とにかく、部屋の中で出来るトレーニングは何でもした。
なにせ、日中に体を虐めれば虐めるほど、よく眠れるのだ。
そんな生活が1ヶ月も続くと、母親から言われた。
「あんた、一日中家に居るのに、食欲も凄いし、体ががっしりしてきてるわよ」
確かに、もともとガリガリだった僕の洋服がピチピチになっている。
特に腕周りと胸が顕著だ。久しぶりに鏡を見ると、ガリガリだった僕が健康そうな青年になっていた。
この生活が、2ヶ月程経つと、体が慣れてきたのか筋肉痛があまり来なくなってきた。
僕は不眠になるのが嫌で、夜にこっそりと出かけて、走ったり、公園で懸垂なんかをした。
トレーニングメニューに走りが加わり、外に出ることが気分転換にもなり、筋トレが楽しくなってきていた。
走るついでに本屋に寄って、筋トレの本を買った。
本屋では中学時代の同級生が居たが、気付かれなかった。
筋トレの本を熟読し、段々とウエイトトレーニングに興味が出てきて、僕はついにジムの門をくぐることとなった。
ジムと言っても、市民体育館のジムだったが、ウエイトトレーニングの器具は充実していた。
僕は同級生に会わないように、平日の日中にジムに通うようになり、そこでサイトウさんに出会った。