ポンコツ親父のガラクタ日記

ポンコツ親父の下らないガラクタ日記です。ポンコツ雑記とガラクタ小説をあげています。お時間のある方は読んでやってください。m(_ _)m

✮ 砂の惑星 ✮

遼東の豕

まさか、あの男から連絡があるとは… 何十年ぶりかに聞いた声は、年月が確かに経っていることを感じさせる。 お互い歳老いたものだ。 あの男は、内戦が続く国で生き延びるために武装集団を作り、ただ政府と闘っていた。 民族間の軋轢からくる内戦は、腐った政…

Love me, love my dog

確かに意地汚かったが、あんな怒り方もないもんだ。 妻にねぐらを追い出され、賑やかそうな軒先があったので、ちょいと隅に腰を下ろす。 「あら、やだ野良犬かしら…」 俺を見つけた女が迷惑そうに言う。 「首輪付けてないね。多分、野良犬じゃないかな?」 …

玄鳥

ガレージの天井から、雛の鳴き声が聞こえる。 どこから聞こえるのかと探すと、入口の上にツバメが巣を作っていた。中を覗けば、雛が3羽。 「いつの間にか巣を作られていたな…」 「でも、トゥラン。ツバメの巣は縁起良いんでしょ?」 ウズィが嬉しそうに聞い…

暗夜の猿

空に月が浮かんでいる。今宵は三ヶ月だ。 最近はめったに行かなくなったが、ちょっと気になる映画があったので、久しぶりにレイトショーで映画を満喫した。 俺は月を見ながら、とぼとぼと歩く。 ふと、ビルの7、8階あたりで何か動く影が見える。 その影は…

✾ Sheep ✾

「あら、珍しいわね。植物買って来るなんて」 俺が、植木鉢に水をあげていると、タトゥが通りかかり声をかけてきた。 「まぁ、買って来た訳じゃないけどな…」 しかし、植物なんて育てたことがないので、枯らすまいか心配ではある。 「おっ、ついに盆栽でも始…

♞ウーマ♞

街の中心部にあるビルの近く駐車場。俺は、元世界チャンピオンの顔に警棒を突きつける。 「今さら、どうする気もない。本当のことを教えてくれないか?」 チャンピオンは、少し笑う。 「爺さん、勘違いしてるぞ。八百長を持ちかけたのはネイだよ…」 ♞♞♞♞♞♞♞♞…

巳 ②

一体、どこから大蛇が入ったのか、そもそも何故、街中に大蛇がいるのか… 大蛇との睨み合いに時間ばかりが過ぎていく。 「とりあえず、この部屋から出るぞ」と大蛇を見たまま俺が言う。 ウズィとネイが大蛇を刺激しないように静かに動き、扉からゆっくりと出…

巳 ①

昼下り、ガレージの机に昼飯のために皆が集まる。 俺とウズィ、タトゥで机を囲み、油臭いガレージに美味そうな臭いが漂ってくる。 昼飯を作るのはウズィの役割で、今日はパスタだが、なかなか美味い。 「本当にウズィは料理が上手ね」とタトゥが褒めると、ウ…

タトゥ ③

「テメェが、ネイだな! 殺してやる」3人の柄の悪い男が表に立っている。 「アイツらから奪ったんだ。取引の情報が入ったから、現場でかっさらった。」ネイが頭をポリポリ掻きながら言った。 やれやれだ… 結局、災難を持ち込んでいるのはネイじゃないか。 …

タトゥ ②

回復した女は、居着いてしまった。 名前はタトゥと言い、詳しくは言いたがらないが、身寄りがないらしい。ウズィも懐いてしまったので、追い出しにくくなってしまった。 タトゥは、ウズィの家事を手伝おうとするが、びっくりするくらい下手くそで、一回、食…

タトゥ ①

街から出た砂漠を行くと、ゴミ捨て場がある。 正規のゴミ捨て場ではないが、不法投棄されたゴミが山の様になっている。 俺とネイとウズィは、このゴミ捨て場でお宝探しをしている。比較的新しい家電や金属なんかを持ち込むと金に変わるからだ。 貧富の差が酷…

ウーの鳥 ③

夜も更けて、ネイは何故か俺達と夕食を食べている。 「全然鳴かねえな…」 鳥かごの中のオウムは、黙ったままだ…… ネイはテレビを、ウズィはパソコンを、俺は雑誌を読んで夕食後を過ごしていたが、いきなり女の声で「ウー!」と言う叫びが聞こえる。 叫び声の…

ウーの鳥 ②

garakutablog.hateblo.jp 「ウズィ、鍋持って来い!」 ネイは、ガレージでパソコンをいじっていたウズィに命令する。 ウズィは、素直に台所から持ってきた鍋をネイに渡す。ちょうどオウムが入りそうなサイズの鍋だ。 「見てろよ」 ネイは、そう言って、鍋を…

ウーの鳥 ①

「トゥラン、変な鳥が居るよ」 ガレージで作業中にウズィが叫んだ。俺がウズィの指差す方を見ると、派手な鳥が電柱にとまっている。 「ありゃあ、オウムだな。どっかから逃げ出してきたんだな」 「何か、変な鳴き方しているよ」ウズィは、オウムに釘付けだ。…

ベーコンエッグ

フライパンにバターを落とす。バターが溶けて、良い匂いがしてくる。 ベーコンをフライパンに落とし、こんがりと焼けてきたら、卵を割り、フライパンに投入する。 ベーコンエッグだ。 これを焼いたトーストにのせてテーブルに出してやる。 「ほら、朝飯だ」 …

砂埃 ③

しばらく走ると、砂漠の中に大型のバスがポツンと停まっているのが見えてくる。 俺達は、トラックから移民を降ろし、バスに乗り換えさせる。 このバスは、これから汚染された土地で働く者達を運んでいく。汚染地域の仕事は、国の仕事だが、この国の人間達は…

砂埃 ②

隣のアパートの親父は仕事を断れないだろう。断ったところで借金取りに加えて、質の悪い連中からも目に付けられるだけだ。 どんな罪の身代わりか分からないが、長年家族と会えなくなるのは間違いない。それでも、金が払われれば良い方だか…… 俺は、今夜仕事…

砂埃 ①

砂漠化が進んだ平野。海沿いには世界でも有数の都市がある。 昔に比べれば衰退したが、それでも世界中から職を求めた移民たちが数多く来るので、街は色んな人種で溢れている。 俺は、この国に移り住んで何十年経ったっけ?よく覚えていないが、俺が来た頃は…