ポンコツ親父のガラクタ日記

ポンコツ親父の下らないガラクタ日記です。ポンコツ雑記とガラクタ小説をあげています。お時間のある方は読んでやってください。m(_ _)m

ディストピア

砂漠のど真ん中に薄汚れた山がある。 産業廃棄物やどこからか運ばれてきた家庭ごみなんかで山は作られている。 もちろん、正規のごみ捨て場ではないので、不法投棄だ。 この山は、俺達にとっては職場のようなものだ。 鉄くずを集めて売りに行けば、はした金…

浦島太郎

まさかの事態だ。 俺の持っている紙袋から聞こえてくる秒針の音が、神経を逆立てる。 この時代にアナログな時計を使うなんて、漫画かドラマの見すぎだ。 俺は駅前のベンチに座り、今までの出来事を整理する。 事の発端は、彼女の弟が遊びに来たいと言ってき…

zoo

すっかりと陽が落ち、空には月が登る。 昼間とは、うって変わり人気がなくなった園内にはゆったりとした空気が流れている。 「いや、今日も人が多くて騒がしかったな」檻の中でどっかりと座ったオラウータンが言う。 「ホント、ホント」「騒がしい、騒がしい…

一寸法師

身長ほど遺伝の影響を受けるものもないらしい。親父の背も低かったが、俺の息子も背が低い。もちろん俺も低い。三世代見事に受け継がれている。 嫁さんも背が低いから、産まれてくる子供達の身長が低いのは当たり前だ。むしろ、高身長の子供が産まれてきたら…

レッドタートル

「無理ゲーだよ、ちくしょう!」 俺は、何かを地面に叩きつけたい気分になった。 それにしても、気持ちが良いくらいの点差だ… サッカーって、こんなに点差がつくのか?というくらいの点差だ。もしかしたら、大会記録かもしれない。 レッドタートル。これが俺…

とても近くに見えるが、その距離は絶望的だ。 トホホ…と途方にくれて、地べたに座り込み、眼の前に浮かぶ青い星を眺める。 クレーター以外に何もない。静寂が自分を包み込む。 このスーツの酸素残量はどれくらいだろうか。不安な気持ちを紛らわすため、テレ…

遼東の豕

まさか、あの男から連絡があるとは… 何十年ぶりかに聞いた声は、年月が確かに経っていることを感じさせる。 お互い歳老いたものだ。 あの男は、内戦が続く国で生き延びるために武装集団を作り、ただ政府と闘っていた。 民族間の軋轢からくる内戦は、腐った政…

Love me, love my dog

確かに意地汚かったが、あんな怒り方もないもんだ。 妻にねぐらを追い出され、賑やかそうな軒先があったので、ちょいと隅に腰を下ろす。 「あら、やだ野良犬かしら…」 俺を見つけた女が迷惑そうに言う。 「首輪付けてないね。多分、野良犬じゃないかな?」 …

玄鳥

ガレージの天井から、雛の鳴き声が聞こえる。 どこから聞こえるのかと探すと、入口の上にツバメが巣を作っていた。中を覗けば、雛が3羽。 「いつの間にか巣を作られていたな…」 「でも、トゥラン。ツバメの巣は縁起良いんでしょ?」 ウズィが嬉しそうに聞い…

暗夜の猿

空に月が浮かんでいる。今宵は三ヶ月だ。 最近はめったに行かなくなったが、ちょっと気になる映画があったので、久しぶりにレイトショーで映画を満喫した。 俺は月を見ながら、とぼとぼと歩く。 ふと、ビルの7、8階あたりで何か動く影が見える。 その影は…

✾ Sheep ✾

「あら、珍しいわね。植物買って来るなんて」 俺が、植木鉢に水をあげていると、タトゥが通りかかり声をかけてきた。 「まぁ、買って来た訳じゃないけどな…」 しかし、植物なんて育てたことがないので、枯らすまいか心配ではある。 「おっ、ついに盆栽でも始…

♞ウーマ♞

街の中心部にあるビルの近く駐車場。俺は、元世界チャンピオンの顔に警棒を突きつける。 「今さら、どうする気もない。本当のことを教えてくれないか?」 チャンピオンは、少し笑う。 「爺さん、勘違いしてるぞ。八百長を持ちかけたのはネイだよ…」 ♞♞♞♞♞♞♞♞…

巳 ②

一体、どこから大蛇が入ったのか、そもそも何故、街中に大蛇がいるのか… 大蛇との睨み合いに時間ばかりが過ぎていく。 「とりあえず、この部屋から出るぞ」と大蛇を見たまま俺が言う。 ウズィとネイが大蛇を刺激しないように静かに動き、扉からゆっくりと出…

巳 ①

昼下り、ガレージの机に昼飯のために皆が集まる。 俺とウズィ、タトゥで机を囲み、油臭いガレージに美味そうな臭いが漂ってくる。 昼飯を作るのはウズィの役割で、今日はパスタだが、なかなか美味い。 「本当にウズィは料理が上手ね」とタトゥが褒めると、ウ…

タトゥ ③

「テメェが、ネイだな! 殺してやる」3人の柄の悪い男が表に立っている。 「アイツらから奪ったんだ。取引の情報が入ったから、現場でかっさらった。」ネイが頭をポリポリ掻きながら言った。 やれやれだ… 結局、災難を持ち込んでいるのはネイじゃないか。 …

タトゥ ②

回復した女は、居着いてしまった。 名前はタトゥと言い、詳しくは言いたがらないが、身寄りがないらしい。ウズィも懐いてしまったので、追い出しにくくなってしまった。 タトゥは、ウズィの家事を手伝おうとするが、びっくりするくらい下手くそで、一回、食…

タトゥ ①

街から出た砂漠を行くと、ゴミ捨て場がある。 正規のゴミ捨て場ではないが、不法投棄されたゴミが山の様になっている。 俺とネイとウズィは、このゴミ捨て場でお宝探しをしている。比較的新しい家電や金属なんかを持ち込むと金に変わるからだ。 貧富の差が酷…

ウーの鳥 ③

夜も更けて、ネイは何故か俺達と夕食を食べている。 「全然鳴かねえな…」 鳥かごの中のオウムは、黙ったままだ…… ネイはテレビを、ウズィはパソコンを、俺は雑誌を読んで夕食後を過ごしていたが、いきなり女の声で「ウー!」と言う叫びが聞こえる。 叫び声の…

ウーの鳥 ②

garakutablog.hateblo.jp 「ウズィ、鍋持って来い!」 ネイは、ガレージでパソコンをいじっていたウズィに命令する。 ウズィは、素直に台所から持ってきた鍋をネイに渡す。ちょうどオウムが入りそうなサイズの鍋だ。 「見てろよ」 ネイは、そう言って、鍋を…

ウーの鳥 ①

「トゥラン、変な鳥が居るよ」 ガレージで作業中にウズィが叫んだ。俺がウズィの指差す方を見ると、派手な鳥が電柱にとまっている。 「ありゃあ、オウムだな。どっかから逃げ出してきたんだな」 「何か、変な鳴き方しているよ」ウズィは、オウムに釘付けだ。…

ベーコンエッグ

フライパンにバターを落とす。バターが溶けて、良い匂いがしてくる。 ベーコンをフライパンに落とし、こんがりと焼けてきたら、卵を割り、フライパンに投入する。 ベーコンエッグだ。 これを焼いたトーストにのせてテーブルに出してやる。 「ほら、朝飯だ」 …

砂埃 ③

しばらく走ると、砂漠の中に大型のバスがポツンと停まっているのが見えてくる。 俺達は、トラックから移民を降ろし、バスに乗り換えさせる。 このバスは、これから汚染された土地で働く者達を運んでいく。汚染地域の仕事は、国の仕事だが、この国の人間達は…

砂埃 ②

隣のアパートの親父は仕事を断れないだろう。断ったところで借金取りに加えて、質の悪い連中からも目に付けられるだけだ。 どんな罪の身代わりか分からないが、長年家族と会えなくなるのは間違いない。それでも、金が払われれば良い方だか…… 俺は、今夜仕事…

砂埃 ①

砂漠化が進んだ平野。海沿いには世界でも有数の都市がある。 昔に比べれば衰退したが、それでも世界中から職を求めた移民たちが数多く来るので、街は色んな人種で溢れている。 俺は、この国に移り住んで何十年経ったっけ?よく覚えていないが、俺が来た頃は…

👾 Monsterの夫婦喧嘩 3

お屋敷を豪華に飾り付けをして、注文したお食事が次々と届きます。 お母様は、弟とお出かけをしていますので、変えっくるまでに準備を済まさなければなりません。 お兄ちゃんがパソコンを覗いて「もうすぐ帰って来るぞ」と言いました。お兄ちゃんが弟にGPSを…

👾 Monsterの夫婦喧嘩 2

お父様はさっそく、伝書コウモリを魔界に飛ばして、サタン様に誕生会にご招待しました。 お兄ちゃんは、パソコンでパーティーグッズや料理の注文なんかをしました。 私と弟は、ただただ嬉しみでワクワクしていました。 お母様は私達がコソコソと何かしている…

👾 Monsterの夫婦喧嘩

今日のお父様とお母様は変だ。 お父様は、元気無いし、お母様はお父様に対して冷たい。 朝ご飯も心なしか、お父様の分が少ない気がしたし…… 「お父様達、何かあったの?」とそっと弟に耳打ちすると、「何かあったの?」と弟が大きな声で叫んじゃった。 それ…

👾 Monster Ⅳ

ゴルフ場は、山の上にあって景色がとても綺麗です。 お金を持っていそうな親子がお洒落なゴルフウェアを着て楽しんでいます。 私は、ゴルフをやるのは初めてです。 「やってごらん」とお父様に言われて、ティーカップにボールをのせて、打ってみましたが、ク…

👾 Monster Ⅲ

「わ〜、プールだぁ!」 ホテルのプールは部屋の中にあって、夏じゃなくても泳げるみたいです。 私と弟は、すぐにプールに飛び込んで、弟は犬かきを、私はクロールをします。 泳ぎに飽きると、私は魔法で水の王を作り、クルクルと回して遊んだりしました。 …

👾 Monster Ⅱ

待ちに待った日曜日。 弟は朝から嬉しくて、山に遠吠えをしていて、お母様に怒られていました。 お兄ちゃんも珍しく、棺から出て、お出かけの支度をしています。 お父様は、いつもと変わらない様子で、優雅に朝食を食べて、みんなに「さぁ、行こうか」とおっ…