MUSCLE Ⅲ
👇この話の続き
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サイトウさんは定年退職した63歳だ。でも、年齢に不釣り合いな肉体の持ち主で、完璧な逆三角形のボディに太い腕、スキンヘッドの髪型は異質なものがあった。
サイトウさんは、僕を見ると必ず声をかけてくれる。でも、何で学校に行ってないのかとか込み入ったことは聞いてこなかった。
それが心地よくて、僕はジムに行くと必ずサイトウさんと話すようになった。
サイトウさんは、ウエイトトレーニングのやり方や食事、休養の大切さを僕に教えてくれた。
僕がウエイトをやる時は、必ず補助に入ってくれて、細やかなアドバイスをくれた。
サイトウさんは、僕のお爺ちゃんに近い年齢だが、今までの友達よりも、全然近く、親しい存在になった。
僕は、一日も休みがなくてハードワークだったらしく、トレーニングを週4日に抑えることにした。
トレーニングを休む日に、何もしないと不眠症になるんじゃないかと思い、サイトウさんに相談すると勉強をしたら良いという答えが返ってきた。
勉強と言っても、学校の勉強ではなく、自分の興味のあることを勉強しろと言う。
僕はトレーニングが休みの日は、図書館で興味のある本を探し、学校の勉強なんかもしながら過ごすことにした。
勉強も、トレーニングのように自分の筋肉を増やすように知力を鍛えるようにすると楽しく、夜にぐっすりと眠れるように自分を追い込むように一生懸命やった。
食事は母親に頼み込んで、脂質の少ない鶏肉を中心にしてもらい、栄養のバランスを考えて食事を捕るようになっていた。
サイトウさんに出会ってから、僕の生活は充実したものになり、両親からも明るく健康的になったと言われるようになった。
そんな生活が続くと、僕の体は逆三角形となり、洋服のサイズも上げるようになっていた。
僕は、サイトウさんを真似て坊主頭にした。その頭を見て、サイトウさんは苦笑いをしていた。
ある日、街を歩いていると知っている顔が不良にカツアゲされているので、僕は割って入ってカツアゲをやめさせた。
不良は見た目は派手だが、体格が貧弱で、僕は少しも恐怖を感じなかった。
不良は、僕の体格と態度に怯み、捨てゼリフを吐いて退散していった。
僕は、正直言って、この時に快感を覚えてしまった。
以前の僕なら考えられないことだ。
ちなみにカツアゲされていた高校生は、以前に僕をからかっていた奴だが、僕とは気づかなかったようだ。
こうして、僕は自分に自信を持ち、自尊心というものを自覚した。そして、不眠症に怯えることは無くなった。
まもなく、僕は学校に再び通い始めるようになった。