ポンコツ親父のガラクタ日記

ポンコツ親父の下らないガラクタ日記です。ポンコツ雑記とガラクタ小説をあげています。お時間のある方は読んでやってください。m(_ _)m

犯人以外、全員探偵 1

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ついにやってやった。この親父は表向きはペンションの好々爺だが、裏では……

俺は、ついに復讐を果たした。

ペンションの外は吹雪だ。朝になれば止むはず、そうすればチェックアウトしておさらばだ。

俺は、何食わぬ顔をして、部屋から出て行った。

ペンションのお手伝いが主人の死体を見つけて叫ぶ。

ペンションの宿泊客が集まってくる。宿泊客は俺を入れて全員で4人。従業員はお手伝い1人だ。

「警察にすぐに連絡しろ」宿泊客の1人が叫ぶ。

「駄目です、吹雪が止むまで来れないとのことです」従業員が泣きながら答える。

「なんてことだ、頭に外傷がある。これは、殺人ですぞ」宿泊客の1人が死体を見て言う。

「この吹雪では、犯人もペンションから出られない、つまり、犯人はこの中にいるということです」

宿泊客は振り返り、皆の顔を見て言う。「申し遅れました。私は、探偵をやっています、明智大五郎といいます」

「くそ、探偵が泊まっていたとは……」俺は、予想外のことに心の中で舌打ちする。

「兇器は、この花瓶ですね」明智は、部屋に飾っている花瓶を指差す。

いや、違うけど……まぁ、いいか。

「ノンノン、違いマス。兇器は、この灰皿デス。見てクダサイ。この頑丈な灰皿ヲ、花瓶なら割れてしまいマス」

宿泊客の中に外国人がおり、明智の推理を否定した。ちなみに灰皿でもないけど……

「私は、イギリスで探偵ヤッテマス。シャーベット・ホームといいマス」

なんてことだ、2人も探偵がいるとは、俺もこれまでか……

「私も、灰皿じゃないかと思っていた。花瓶と言ったのは犯人の反応を試すためだよ」明智が言い訳じみたことを言った。

ちなみに、俺は首を締めて殺したのであって、頭の傷は倒れた時にできたものだ。

「シカシ、一撃で殺シタトナルト、犯人ハ男デショウ」シャーベットが推理を始める。

「待て、ここにダイイングメッセージがあるぞ、アルファベットのアイと書いてあるんじゃないかね」また違う宿泊客が発言する。

「申し遅れた。実は、儂も探偵を生業としている者でね。金田一金助と申す」

なんてことだ、俺以外の宿泊客が全員、探偵だとは……

俺の脇の下からは、じっとりと汗が出てきた。