👾 Monster Ⅱ
待ちに待った日曜日。
弟は朝から嬉しくて、山に遠吠えをしていて、お母様に怒られていました。
お兄ちゃんも珍しく、棺から出て、お出かけの支度をしています。
お父様は、いつもと変わらない様子で、優雅に朝食を食べて、みんなに「さぁ、行こうか」とおっしゃいました。
お父様が両腕に力を込めて、前にかがんでぐっと背中を盛り上げると、逞しい背中から翼が生えてきました。
私と弟、それにお兄ちゃんはお父様の背中に乗りました。
お父様は悠然と、大空に向かって飛び立ちました。後ろからは、箒にまたがったお母様がついて来ます。
遠くに見えた山の頂きが、みるみる近くなってきます。
確かに、山の上に立派なホテルが建っています。その周りの木は刈り取られてゴルフ場が作られていました。また、ホテルにつながる立派な道路が出来ています。
お父様は、ホテルの入口に降り立ちました。私達もお父様の背中から降ります。
周りの人達が、驚いて注目しています。
お父様は堂々とホテルの中に入って行きました。私達も続きます。
ホテルの中には、身なりの豪華な人達が沢山居ます。テレビの中にいるような人達ばかりです。
男の人が、お父様に話しかけて来ました。体の大きな逞しいアクション俳優みたいな人です。
「このメイク凄いな~、どこでやったんだ」と言いながら、お父様の顔を撫で回しました。
お父様は、横目で男を見て、男のおでこにデコピンをしました。
バチン! という音と一緒に男は5メートルくらい吹き飛びました。
お父様は、吹き飛ばされた男には見向きもせず、ホテルのカウンターに向かいました。
「ほぅ、プールもあるし、ゴルフ場も広そうだ。是非、遊ばせてくれ」と受付けの人に言いました。
受付けの人は困った顔をしながら、「ご予約はありますか?」と聞いてきたけど、お母様がチョチョッと手を動かすと、「承知しました」と言って、説明を始めました。
私と弟はワクワクしてプールまで走って行きます。