大江戸ROCKETS
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18☓☓年、時は太平の江戸時代、江戸川の河川敷に男が二人。
男の名は、平賀源外。 かの有名な発明家のはとこにあたるらしく、源外もまた発明の道に身を置いている。
もう一人の男は、まだ少年であり名は源之助という。 源外の弟子として、彼もまた発明の道に身を置いている。
「先生、いよいよですね!」
「ああ、ついにエレキテルの力で、月にこの筒を送る日が来たな。」
「特製の筒をあの刀匠である虎徹に作ってもらいましたから、絶対大丈夫ですよ。」
「そうだな、月に着いたら、蓋が開き人参が入っている罠になろうとは、月の兎も気がつきまい。」
そう、これは特製の筒を月まで打ち上げて、月の兎を捕獲するという壮大な計画なのである。 その名も、源外アポロ計画。
「それでは、参る。」
源外が手元のレバーを手前に倒すと、雷鳴が轟き、筒から業火が放たれる。
筒は天高く舞い上がり、二人の視界から消え去っていく。
打ち上げを終えて、余韻に浸っている源外に源之助が問う。
「先生、月で捕獲した兎はどうやって、こちらに持って来るのでしょう。」
「…………、きっと、かぐや姫殿が届けてくれよう……」
「…………、そうですか」
源之助は納得いかないが、師匠を思いこれ以上は黙っていた。
「源之助、源内に聞いた旨い鰻屋がある。食べに行こう。」
「はいっ!先生。」
もちろんであるが、筒が戻ってくる事は二度とないのであった。
完