ポンコツ親父のガラクタ日記

ポンコツ親父の下らないガラクタ日記です。ポンコツ雑記とガラクタ小説をあげています。お時間のある方は読んでやってください。m(_ _)m

敵討ち

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父の仇を追い求め、藩を出てから2年が経った。

憎い仇は、この江戸に潜伏しているとの情報を得た。2年目でやっと、掴んだ手がかりである。

仇討ちを果たして、早く国へ帰りたいが、なにせ剣に全く自信がない……

泣けなしの金を渡してくれた母上には申し訳ないが、この金を持って逃げてしまおうと何度考えたことか。

生まれつき身体が弱く、剣のセンスもない私に、ひとつの妙案が浮かんだ。

この江戸には、平賀源外という発明家がいるらしい。その発明家に刀を誰にでも勝てる武器に改造してもらおうというものである。

私は、源外の自宅を訪ねた。

自宅は、非常に簡素でボロいため、一抹の不安を覚える。

源外は留守であったが、近所の者から、実験のために河原に行っているとの情報を得た。

私は、河原を歩く。

すると、反対側より2年間探し続けた顔が来るではないか。

憎き仇もこちらに気付き、笑いながら刀を抜く。

私は恐怖で膝が震えたが、観念して刀を抜き、仇に飛びかかる。

2、3振りで、私は刀を打ち落とされてしまった。

無念…… もはや、これまでか……

その時、ゴオオオオという雷鳴が轟く。

雷鳴の主は巨大な筒で、天高く舞い上がっていく。

私と仇が天高く舞い上る筒を見ていると、何かの破片が落ちてくる。

巨大な筒の先に付いていた部品が落下してきたのだ。

落下した部品は仇の頭部に激突し、仇は倒れ込んで動かなくなった。

部品を拾いあげると、それは筒の蓋のようで、『虎徹』と銘がある。

河原を見ると、源外らしき男と少年が空を見上げている。

しばらくすると、「鰻でも食いに行くか。」と言って、源外らしき男と少年は立ち去っていった。

私はこうして仇討ちを果たした。

そして、今でも空を見上げると思う。あの筒は何だったのだろうと……

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