ポンコツ親父のガラクタ日記

ポンコツ親父の下らないガラクタ日記です。ポンコツ雑記とガラクタ小説をあげています。お時間のある方は読んでやってください。m(_ _)m

ヘイ!タクシー!①

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   🚗  🚗  🚗

 世間にイベントがない時は、ひたすら駅前や繁華街を流して客を見つけるしかない。  しかし、なかなか客は落ちていないものだ。

 不景気のあおりをモロに受けるタクシー運転手はなかなか景気の動向に敏感だ。

 最近、稼ぎが悪いせいか妻のご機嫌も斜めだ。反抗期の息子は口もきこうとしない……

 そんな、不景気を感じる駅前で、陽気な男を拾う。ちょっと派手なスーツで酔っ払ってはいないようだが、よく喋る。

「……だから、運転手さん。俺が一生懸命話しているのに妻はつれない態度なのよ、俺はエアーじゃないってのに……」

 初めてなのによく喋る客だ。だが、不景気のなかでは貴重な客だ。

「最近なんか、全然話を聞いてくれないんですよ!目も合わせようとしない、ノールック。だから振り向くまでマシンガントークですよ!」

 ずっと喋っているから妻も疲れているのだろう。   私もすでに疲れ始めているくらいだ。だが、客は終始楽しそうに会話を続ける。

「あ、このラーメン屋、あんまり旨くないッスよ!油が多すぎっ!こってりしすぎ!メタボ一直線!」    お喋りは止まらない……

 いい加減、疲れた頃に目的地に到着する。

 目的地は、どこにでもある様なアパート。  男はタクシーを降りて、アパートの明かりを見つめる。

 俺は、静かにタクシーを発車させる。

 やかましいが、金を払ってくれるなら上客だ。

  🚗   🚗   🚗

 日増しに街が元気をなくし、景気が悪くなっていくと、我が家も明るさを無くしていくようだ。

 客を求めて街を流すと、また、あのお喋りな客が手を振っている。

「いや〜、奇偶ですね! また会うなんて!」

 お喋りな男は喋り続ける……。  ちょっと、鬱陶しい感じもあるが、この不景気では有難いお客様だ。  適当に話を合わせる。

   とにかく、車内ではお喋りが止まらない。いい加減、頭が痛くなってくる。

 うんざりした頃に、アパートに到着する。

 男は、タクシーを降りて、お喋りに満足した顔でアパートの明かりを見つめる。

 いつまで経っても、アパートに入ろうとしないのが気になったが、お喋りに付き合わされるのも御免なのでタクシーを発車させる。

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