👾 Monsterの夫婦喧嘩 3
お屋敷を豪華に飾り付けをして、注文したお食事が次々と届きます。
お母様は、弟とお出かけをしていますので、変えっくるまでに準備を済まさなければなりません。
お兄ちゃんがパソコンを覗いて「もうすぐ帰って来るぞ」と言いました。お兄ちゃんが弟にGPSを付けたそうです。
ガチャ
お母様がお屋敷の扉を開けました。
パァーン!
その瞬間に、みんなでクラッカーを鳴らしました。
「お母様、誕生日おめでとう!」
部屋にされた飾り付けと、豪華とは言えないけど沢山の料理、気を遣って色々動くお父様。
お母様は、嬉しそうに笑顔を見せました。もう、お父様が近づいても姿を消そうとしません。
久しぶりに笑顔のお母様と、和やかにパーティーが続きます。
楽しいパーティーの途中で、お父様がコホンと咳払いをしました。
「今日は、お母さんのためにゲストを用意したよ」と言って、私にウインクしました。
出番です。
私は、魔法陣の前に立って、呪文を唱えました。
「≦∈⊕√∣∏√∝∞⊄」
魔法陣が光を放ち、大気が魔法陣を中心に渦を巻きます。
魔法陣が眩く閃光を放ったと思うと、静寂が戻り、魔法陣の中心に杖をついた大柄な老人の魔人が立っています。サタン様です。
「まぁ、サタン様!」お母様が叫びました。
お母様は、サタン様の手をとって、「サタン様、お久しぶりです」とたいへんな喜びようです。
サタン様は、目をトロンとさせ、「うぁ…」と言って、お母様の言葉が耳に入らない様子です。
そのうちトコトコと歩いて、「ご飯…」と言って、サタン様はテーブルの上の料理をもぐもぐと手掴みで食べ始めました。
「ちょ… サタン様?」とお父様がサタン様の肩に手をかけると、サタン様は「うぁ…」と言って、片手を上げました。
そうすると、竜巻が起き、部屋の中の物がぐちゃぐちゃに吹き飛ばされました。
「おぉい、婆さん…」 サタン様が杖を持っていない手を左右に振るたびに竜巻が発生して色んなものが吹き飛ばされていきます。
「おぉい、婆さん…」 サタン様はお屋敷を徘徊しながら竜巻を起こし続けます。
このままでは、お屋敷が壊されると思って、お父様がサタン様を取り押さえました。
そうすると、サタン様は「注射は嫌じゃ!」と言って、両手をバタつかせました。
その瞬間に特大の竜巻が発生し、お屋敷が吹き飛び、お父様も吹き飛ばされました。
竜巻は、止む様子もなく、周りの物を巻き上げ、破壊していきます。
お父様が私を見て「召喚術でサタン様を帰すぞ!」と叫んで、サタン様に飛びかかります。
私は急いで、魔法陣の前で呪文を唱えます。魔法陣が竜巻の中、光を放ち始めます。
お父様がサタン様を持ち上げ、「今だ〜!」と叫んでサタン様を魔法陣に投げました。
私は、サタン様が魔法陣の中に入ったのを確認して、呪文を唱えあげました。
「∨∷√∝∶∧∂≫∏∶∴∌∆」
眩い閃光が周囲を包み、サタン様が魔法陣の中で消えて行きます。
辺りを静寂が包みます。 私達は、瓦礫の山に立ちすくんでいました。
その時。
お母様が突然笑い始めました。 そして、お父様に向かって「楽しかったわ、ありがとう!」と言って抱きつきました。
お父様は、お母様の頭を撫でながら、「喜んでくれて、ありがとう」と言いました。
お母様は、その態勢のまま片手だけをを動かし、呪文を唱えました。
瓦礫の山が、みるみるうちにお屋敷に戻っていきます……
次の日、お屋敷のベッドで私達は目を覚ましました。
朝ご飯の時も、以前と同じようにお父様とお母様は仲良さそうにお喋りしています。
いや、お父様は前よりも幸せそうに見えました。
「良かったね、お父様」