👾 Monsterの夫婦喧嘩
今日のお父様とお母様は変だ。
お父様は、元気無いし、お母様はお父様に対して冷たい。
朝ご飯も心なしか、お父様の分が少ない気がしたし……
「お父様達、何かあったの?」とそっと弟に耳打ちすると、「何かあったの?」と弟が大きな声で叫んじゃった。
それを聞いて、お母様が「何も無いわよ」と答え、お父様はますます肩を落としました。
お兄ちゃんが、私のところに近づいてきて「お父様が結婚記念日を忘れてたんだ。昨日が結婚記念日だったろ?」と耳打ちしました。
「なるほど〜」と私は納得しました。
それから数日は、お父様にとって辛い日々が続きました。
お母様が口を聞いてくれないし、お父様が近づいてくると魔法で姿を透明にしてしまう。
「とりつく島なし。だな」とお兄ちゃんが言っていました。
逞しいお父様が、心なしか一回り小さくなった気がします。
そんなある日、私達兄弟が部屋で遊んでいると、コンコンとノックしてお父様が入ってきました。
「お前達に頼みがあるのだが…」
お父様の頼み事は、お母様の誕生日にお祝いを盛大にやりたいという事でした。
お母様の誕生日は来週だし、そろそろ機嫌を直してもらわないと、お父様が小さくなって無くなっちゃいそうなので、私達は喜んで協力する事にしました。
「でも、どうするの?」私が聞くと、「俺が歌う?」と弟が答える。「あんた、いつも遠吠えしてお母様に怒られているじゃない」
お兄ちゃんが「やっぱり、サプライズじゃない?」と言うと、みんなが「良いね〜」と言いました。
「どんなサプライズするの?」
「お母様が会いたい人を誕生会に呼ぶとかは?」
「お母様が会いたい人って?」私がお父様に聞く、 「う〜ん、魔法会の王様のサタン様とかかな?」
「そうなの? でもサタン様って、もう歳なんじゃない?」
「そうだな、もう1万歳くらいかな? 最近は認知症も始まっているらしいしな…」
「でも、楽しそうだし呼んでみようよ」
「そうだよ、きっとお母様も喜ぶよ」
こうして、子供部屋での会議の結果、お母様の誕生会にサタン様を呼ぶことになりました。