ポンコツ親父のガラクタ日記

ポンコツ親父の下らないガラクタ日記です。ポンコツ雑記とガラクタ小説をあげています。お時間のある方は読んでやってください。m(_ _)m

ウーの鳥 ③

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夜も更けて、ネイは何故か俺達と夕食を食べている。

   

「全然鳴かねえな…」 鳥かごの中のオウムは、黙ったままだ……

   

ネイはテレビを、ウズィはパソコンを、俺は雑誌を読んで夕食後を過ごしていたが、いきなり女の声で「ウー!」と言う叫びが聞こえる。      

叫び声の主は、あのオウムだ。  

「ウーチャン!」        

俺は、やはりこの声を聞いた覚えがある。そう、この声は……

         

俺とネイは、ウーの料理店の前に立っていた。ネイの手にはオウムの入った鳥かごがある。      

ウーの店の従業員に、ウーに会いに来たと言うと、奥の部屋に通される。      

「トゥランか、これは珍しい客だな…」 ウーが俺の顔を見て言う。      

ウーと俺は、同じ頃にこの街に流れてきた移民だ。お互いろくな人生を歩んでこなかったが、同じ街だ。たまに顔を合わせる仲ではある。

     

「ほら、お前さんのオウムだ」ネイが鳥かごをドンと机に置く。        

「フン、生きて戻ったか」ウーは、少しも嬉しそうじゃない。

     

「とにかく、約束の金をくれよ」とネイが言う。        

「チッ」と舌打ちして、ウーが従業員に言って金を持って来させる。        

ネイは、ニヤニヤしながら金を受け取る。        

「それは、お前さんの亡くなった嫁さんのオウムだろ?」俺は、金を数えるネイを横目に見ながらウーに聞く。        

「お前には関係ない」ウーは無愛想に返事する。

     

「そりゃ、そうだ。だが、オウムの声や喋り方は、お前さんの嫁さんそっくりだよ」

     

ウーは気まずそうに、「オウムが何か喋ってたのか…」と言った。

       

ネイと俺は顔を見合わせる。思わずニヤニヤしてしまう。

       

「何がおかしいんだ……」ウーが気まずそうに聞いてくる。

       

「いやいや、可愛らしい奥さんだなと思ってな…」俺が答えると、「早く帰れ!」とウーが怒鳴る。  

     

「さぁ、ネイ帰るぞ」と俺はネイと一緒に部屋を出る。

     

ウーのいる部屋から、オウムの声が聞こえてくる。久しぶりの我が家に安心したのか、饒舌だ。        

「カワイイ ウー チャン アイシテルワ」      

あの強面のウーが随分と奥さんには甘えてたのか、それとも、亡き妻の嫌がらせか。オウムは奥さんの声で鳴き続ける。

     

「ナカナイデ ウーチャン ダイジョウブヨ」

     

俺とネイは、笑いながら店をでた。