タトゥ ①
街から出た砂漠を行くと、ゴミ捨て場がある。
正規のゴミ捨て場ではないが、不法投棄されたゴミが山の様になっている。
俺とネイとウズィは、このゴミ捨て場でお宝探しをしている。比較的新しい家電や金属なんかを持ち込むと金に変わるからだ。
貧富の差が酷いこの国では、富裕層にはゴミでも貧困層には金になるものが沢山ある。
俺のトラックの荷台にだいぶ収穫が貯まってきたので、そろそろ帰ろうという時だ。ウズィが俺を呼んだ。
「トゥラン! 人が居るよ」
俺とネイがウズィの方へ行くと、確かに大型の冷蔵庫の中に女がうずくまって寝てた。
息はしているみたいだ。俺が「おい」と肩をたたいて起こそうとすると、ひどく熱い。
「すごい熱だな」
帰り道、助手席のネイが呆れながら「あんたは本当に物好きだよ」と言う。
荷台では、ウズィが女を支えて乗っている。
顔見知りの医者にみせると、2、3日休ませれば大丈夫だろうということだ。
とりあえず、俺のベッドに寝かせる。しばらくは、俺はソファで寝ることになりそうだ。
女は、40歳にはいっていないだろうが、30後半くらいでウズィの母親とそう変わらないくらいだろう。そのせいか、ウズィがかいがいしく看病している。
女が来てから、2日目に「トゥラン、起きたよ」とウズィが言った。
俺が寝室に行くと、女は目を開けていて、俺に気付いて見た。
「お目覚めか」と言うと、「お世話になったみたいね」と返してきた。
「ご飯だよ!」とウズィがお盆にのせたお粥を女のベッドに置くと女はゆっくりと起きあがって食べ始めた。