馬券 ③
👇この話の続き
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競馬のシステムに詳しくないが、馬券を換金すると、俺の全財産は300万を越えた。
どうやら、サキニミライは人気のない馬だったようだ。
その日の夕方にヤツに電話をし、100万を渡した。
ヤツは無造作に100万を財布に突っ込むと、俺の肩を叩いて「またな」と言って、立ち去った。
俺はまたヤツにあったら、心置きなくぶん殴ってやろうと決めた。
あんなヤツに100万を渡すのには腹が立ったが、心は晴れやかだった。
息子に小遣いを渡すと、ネズミのためにお菓子を買うと言っていた。
ちなみに、後日、知り合いに聞いた話によると、ヤツは定食屋で財布を擦られたらしい。間抜けなヤツだ。
スリに金を持っていかれたのは癪だが、ヤツに使われるよりはマシだ。
ざまあみろ。
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息子と2人で、夕食をとる。
「最近、ネズミが来ないんだ」と息子が言うので、「ディズニーでも行ってるんだろう」と返す。
そろそろ5年生だ。おとぎ話をいつまでも言ってたら、クラスで浮かないだろうか……
そんなことを思っていると、外で大きな音がした。
何事かと窓を開けると、夜空に大きく花火が上がっている。
今は冬。何でこんな時期に花火があがっているんだ……
方角を考えると、千葉の方だ。
そう、ディズニーランドの方向だ。
「きれいだね」と息子が言うので、「そうだな」と返す。
2人で、アパートの窓から謎の花火を見上げる。
その後、息子はネズミの話をすることは無くなった。