ポンコツ親父のガラクタ日記

ポンコツ親父の下らないガラクタ日記です。ポンコツ雑記とガラクタ小説をあげています。お時間のある方は読んでやってください。m(_ _)m

送迎

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     ■□■□■□■□■□

思春期も終わったのか、息子との会話が増えた。

俺は、タクシードライバーという職業柄、あまり子供と家に居る時間が被らないのだが、時々でも会話があるのは良いものだ。

昨夜、テレビを見ながらビールを飲んでいたら、息子が聞いてきた。

「親父、知ってる?」

「何をだ?」 相変わらず、主語と述語がない。

「都市伝説だよ。ネズミが喋るっていう都市伝説が流行っているんだ」

「喋るネズミなら知っているぞ。ディズニーランドに居る」

「違うって!」

息子の話によると、最近都内に喋るネズミが居り、困った人々を助けるらしい。

高校生と言っても、まだ子供なものだ。

    ■□■□■□■□■□

夜7時、手をあげてタクシーを呼ぶ客がいる。

客は、40代のスーツ姿のサラリーマンで、行き先に郊外の倉庫を告げる。時間にすると30分くらいだろう。

途中、薬局が見えると、停めてくれと頼まれ、薬局に停める。

サラリーマンは、薬局の袋いっぱいに何かを買い込んでいた。

何となしに「何を買ったんですか?」と聞くと、「バルサンだ」と答えた。

無口そうな客だが、会話はするらしい。

「倉庫でネズミ退治ですか」

「そうだな、平和な生活のために害虫駆除だ」

車は発車する。薬局が遠のき、景色は自然が多くなっていく。

車を走らせている間、客はスマホを見る訳でもなく、窓を眺めている。

「お客さん、喋るネズミの都市伝説知っていますか?」

「いや…」

「何でも、最近、喋るネズミが居て、困っている人を助けるらしいですよ」

「ディズニーの話か」

やっぱり、皆言うことは一緒だ。

「でも、お客さん…… もしかしたら、ネズミは宇宙人かもしれませんよ」

「何故だ」

少し興味を持ったらしい。

「だって、ネズミの姿をしていれば人間に気付かれずにすみますからね」

「なるほど……」

しばらくして、タクシーは目的地に着く。

客は降りる際に、「15分で戻るから待っていてくれ」と言い、倉庫に消えていく。

俺は、タクシーから出てタバコを吸う。客は今頃バルサンでも焚いているのだろうか。

突然、爆音が倉庫から聞こえた。

鼓膜が破れるかと思う程の爆音に驚き、倉庫を見ると、空に大きな花火が打ち上がっている。

火の粉が降ってきたので、慌てて車に乗り込んでエンジンをかける。

発車させようとしたところに、客が顔面から血を流している爺さんを連れて乗り込んできた。

「出してくれ」客が少しも慌ててない様子で言う。

俺が急いで、車を発車させると、爺さんが花火はやりすぎだとサラリーマンに言う。

サラリーマンは、こう言った。

「宇宙人がやったのだろう」

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