ポンコツ親父のガラクタ日記

ポンコツ親父の下らないガラクタ日記です。ポンコツ雑記とガラクタ小説をあげています。お時間のある方は読んでやってください。m(_ _)m

♜ ガラクタ小説 ♖

MUSCLE Ⅲ

この話の続き garakutablog.hateblo.jp サイトウさんは定年退職した63歳だ。でも、年齢に不釣り合いな肉体の持ち主で、完璧な逆三角形のボディに太い腕、スキンヘッドの髪型は異質なものがあった。 サイトウさんは、僕を見ると必ず声をかけてくれる。で…

MUSCLE Ⅱ

この話の続き garakutablog.hateblo.jp ぐっすりと眠れ、気持ち良く目覚めることができた僕は、その日から欠かさずトレーニングをするようになった。 体を疲れさせないと眠れなくなるという恐怖心から、まるで取り憑かれたかのように、朝から晩までトレー…

MUSCLE Ⅰ

気弱なのは生まれた時から、貧弱なのは今まで何も運動しなかったから、勉強出来ないのは勉強してこなかったから。 これが16年間生きてきた僕の人生の全てです。 とにかく、気弱で貧者で勉強が出来ない。なんとか学校でも空気のように過ごしてきたが、限界…

変異 ニ

この話の続き! garakutablog.hateblo.jp 競馬の手伝いをしてから、息子は約束通り人間の子供と会っていないようだ。 巷の噂に喋るネズミは困っている人々を助けるという変化はあったが、平和な日常が続いていた。 息子は最初は元気がなかったが、少しづつ回…

変異 イチ

息子は、変わっている。 我が一族が地球で暮らすようになって150年以上が経った。 地球の環境に適応するように変異したのかもしれない。種の進化だ。 何が変わっているかと言うと、我が一族は一匹にひとつ鉱石を持っている。 この鉱石は、我が一族が宇宙…

送迎

■□■□■□■□■□ 思春期も終わったのか、息子との会話が増えた。 俺は、タクシードライバーという職業柄、あまり子供と家に居る時間が被らないのだが、時々でも会話があるのは良いものだ。 昨夜、テレビを見ながらビールを飲んでいたら、息子が聞いてきた。 「親…

打ち上げ花火 ③

♨ ♨ 薄暗い事務所。 床に座らされて手を縛られている俺。俺とパーテーションで区切られた向こう側で飯を食いながらテレビを見ている男が3人。 テレビからは、バラエティ番組の音が聞こえる。この番組がやっているということは、夜8時くらいか。 明日の朝ま…

打ち上げ花火 ②

散々俺を蹴ったチンピラにも情があるのか、ひとつ提案をしてくれた。 もちろん、有り難くない提案だ。 「お前の代わりに金を払えそうなヤツに電話しろ」 せっかくの提案だが、俺に身寄りは無い。そんな金払いの良い知り合いがいるならスリなどしない。 仕方…

打ち上げ花火 ①

♨ ♨ 「破目をはずす」の語源を知っているかな? 馬をコントロールするために口にくわえさせる道具を「はみ」と言う。 この「はみ」が変化して、「破目」となったらしい。 ようは、「破目をはずす」とは、馬がコントロール出来なくなるような状態な訳だ。 あ…

馬券 ③

この話の続き garakutablog.hateblo.jp 競馬のシステムに詳しくないが、馬券を換金すると、俺の全財産は300万を越えた。 どうやら、サキニミライは人気のない馬だったようだ。 その日の夕方にヤツに電話をし、100万を渡した。 ヤツは無造作に100…

馬券 ②

前の話 garakutablog.hateblo.jp 最悪なヤツから金を借りた3年前の自分を殴りたいが、どうしようもない。 今の生活ですらカツカツなのに1週間で100万なんて金を用意できる訳もない。 この数日間、悪い頭を総動員して考え、導いた結論は、この町から逃げ…

馬券 ①

立派とは言えないアパートで小さなテレビを前に馬券を握りしめ、息子と2人で競馬の出走をまだかと見守る。 俺は、立派な父親とは言えないが、普段から息子を競馬に付き合わせるような馬鹿親父じゃない。 これには、理由がある。 その理由は、1週間前に…

鉱石

✡ ✡ ✡ 我々は、実に非力だ。 我々の見た目は、ネズミという生き物そっくりで、実際の運動能力もネズミくらいなものだ。 だが、先祖が宇宙から船に乗って来ただけあり、我々の文明はだいぶ衰えてしまったが、まだ頭脳は人間にも劣らない。 我々は平和を好むの…

宇宙からの使者

✡ ✡ ✡ 自分の先祖がどこから来たか、そんなことは分からない。 ただ、宇宙から来たことは確かだ。 小さい頃に親父に聞いた話によると、俺の先祖は故郷の惑星が隕石の衝突にあったため、宇宙船で集団疎開したそうだ。 我が一族は温厚な性質のため、競争相手の…

遊び心

♨ ♨ ♨ 最近の若いヤツは、遊び心が足りん。 どんな窮地に陥ろうと、人生を楽しむくらいじゃないとな。 「災い転じて福となす」と言うだろ。あれは、遊び心がなせる業じゃ。 こないだ、盗みに入った時も、まさか後から同業者が来るとは思わなかったが、ユニー…

愛妻弁当

結婚して20年。 妻が、いきなり弁当を作ってくれるようになった。 それなりに上手いラーメン屋や定食屋を開拓していたので、若干ありがた迷惑なところがあるが、正直嬉しい。 タクシー稼業なので、電子レンジで温めることができないが、適当なところに車を…

敵討ち

⚔ ⚔ ⚔ 父の仇を追い求め、藩を出てから2年が経った。 憎い仇は、この江戸に潜伏しているとの情報を得た。2年目でやっと、掴んだ手がかりである。 仇討ちを果たして、早く国へ帰りたいが、なにせ剣に全く自信がない…… 泣けなしの金を渡してくれた母上には申…

husband

☂ ☂ ☂ 窓から外を眺めるのが好きだ。 私が好きな言葉は「平凡」と「平和」だ。 幼少期から目立つことが嫌いな内気な子供だった。 真面目な私は中学生の時に校則に則って、おかっぱ頭にしていた。もちろん周りは守っていない古い校則だったけど…… 痩せぎすで…

wife

☂ ☂ ☂ 言葉は大切だ。 どんなに相手には分かっているだろうと思っても、言葉にしないと伝わらない。 長年連れ添った夫婦でも、それは変わらない。 お互いにお喋りじゃないので、私は妻の一言に細心の注意を払い、意図を汲み取る。 妻は、平凡な日常を愛して…

father

☂ ☂ ☂ 会話の途切れない楽しい家庭。 テレビの中はそんな家庭ばかりだけど、我が家は違う。 だからといって、荒れていたり、厳格な訳でもない。 必要以上にお喋りせず、淡々と平凡な日常が過ぎていくだけだ。 お父さんは、絵に描いたように几帳面な人で、毎…

泥棒

師走の風が吹いている。 俺の財布にも空っ風が吹いている。 リストラされ、家賃を滞納し、最終手段だ。この家に入ろう。 最後の手段として、空き巣に入る事に決めたが、初心者なので、セキュリティが甘そうなこのボロ屋に決めた。 電気がついていないので留…

良い夫婦②

☂ ☂ ☂ 事務所は簡素な造りで、パソコンデスクの脇にお目当ての物が置いてある。 依頼主から受け取ったスーツケースと、パソコンデスクの脇にあるスーツケースを取替える。 両方とも、どこにでもある量販店の全く同じ型の同じ色のスーツケースだ。 スーツケー…

良い夫婦①

☂ ☂ ☂ 11月22日は『良い夫婦』の日らしい。 同僚が、「いつも規則正しい生活で、奥さんは退屈だと言わないのか?」と聞いてきた。 私が、必ず定時に帰り、飲み会にも参加しないことに対しての皮肉も混じっているのだろう。 私がこの職員を選んだ理由は、…

吾輩は猫であるが……

(ΦωΦ) 吾輩は、猫である。 名前は、源八と申す。主人は平賀源外というポンコツ発明家である。 吾輩は、貧乏長屋に住み着き、源外が餌をくれるので、源外の家で過ごす時間が自然と長くなり、源外の猫として渡世を渡っている。 「先生、これは何ですか?」 弟…

ヘイ!タクシー!②

今日は、久しぶりに長距離の客を乗せた。いつもの街に戻る途中、あのお喋り男のアパートに通りかかる。 まぁ、正直言って綺麗なアパートではないが、「住めば都ナンスよ!ベリーナイスなハウスっス!」とお喋り男は言っていた。 英語が好きなようだが、発…

ヘイ!タクシー!①

世間にイベントがない時は、ひたすら駅前や繁華街を流して客を見つけるしかない。 しかし、なかなか客は落ちていないものだ。 不景気のあおりをモロに受けるタクシー運転手はなかなか景気の動向に敏感だ。 最近、稼ぎが悪いせいか妻のご機嫌も斜めだ。反…

大江戸ROCKETS

⚡ ⚡ ⚡ 18☓☓年、時は太平の江戸時代、江戸川の河川敷に男が二人。 男の名は、平賀源外。 かの有名な発明家のはとこにあたるらしく、源外もまた発明の道に身を置いている。 もう一人の男は、まだ少年であり名は源之助という。 源外の弟子として、彼もまた発…

◆ 形状記憶 ◆ ②

◆ ◆ ◆ バスは駅前を目指して走っていく。 駅前到着時刻は7時46分。このまま行けば、誤差なく到着し、私はその5分後に到着する電車に乗ることができる。 電車に比べ、バスは渋滞や信号待ちがあるため、時間に誤差が出やすい。 だが、この時間のバスを運転…

◆ 形状記憶 ◆ ①

◆ ◆ ◆ 午前7時15分、バスがバス停に停車する。 駅から遠いバス停から、この時間に乗るのは私だけだ。 バスに乗り込み、いつもの席に座る。 1人掛けの席で、前から4番目の席だ。 私は毎日この席に座る。 前の席には作業着で頭にタオルを巻いた男が腕を組…

サンタは三太

☃ ☃ ☃ もうすぐ日付が変わる時刻、今日は特別な日なので街は賑やかだ。 聖なる夜は、街を眠らなくする。 タクシーにとってクリスマス・イヴは、かきいれ時なので夜通し働くことになる。 まさに、キリスト様だ。 カップルだらけの街から少し浮いてるサラリー…